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遍路の心得

十善戒

十善戒とは、弘法大師が残した「諸戒は十善を手本とする」という教え。
仏教の教えで人がしてはいけないこと、お遍路が守らなくてはならない戒律です。

一、 不殺生 (ふせっしょう)
   
生き物を殺さない

三、 不邪淫 (ふじゃいん)
   ふしだらなことをしない

五、 不綺語 (ふきご)
   お世辞を言わない

七、 不両舌 (ふりょうぜつ)
   二枚舌を使わない

二、 不偸盗 (ふちゅうとう)
   盗みをしない

四、 不妄語 (ふもうご)
   嘘をつかない

六、 不悪口 (ふあっく)
   悪口を言わない

八、 不慳貪 (ふけんどん)
   欲ばらない

宿ではまず、金剛杖を洗いましょう
金剛杖は大師の分身。
大師の足を洗う気持ちで心をこめて洗いましょう。
橋の上では杖をつかない
大師が十夜ヶ橋の下で修行なされた故事にちなんで橋の下では大師がお休みになっていると言われています。
相互礼拝、相互供養
他の同行に会ったときは「南無大師遍照金剛」と唱え挨拶をかわしましょう。
参拝後、鐘を撞いてはいけません
境内での堂宇を参拝した後に打つ鐘は、金が出るとか死者を送るときに打つといった縁起の悪いことから、参拝後に鐘は撞かないといわれています。
心より祈り般若心経などを唱える
本堂では、両手を合わせて心よりお祈りし、灯明、線香お賽銭をあげます。さらに般若心経やご真言、またご詠歌などを唱えましょう。


食事の作法

食前合掌

一滴の水にも天地の恵みがこもり、一粒の米にも万人の苦労がかけられています。


1つ 私たちは天地自然や、あらゆる人々の恩恵によって生かされていることを感謝いたします。

2つ この食事いただくに値するよう、人の為世の為良い行いをしているか反省します。

3つ 過ちや不幸の根拠である、貪(むさぼ)りや、噴(いかり)や愚痴(ぐち)を捨てます。

4つ 心身の飢渇(うえ)をいやし、生命を保つ良薬と思い食物の不平を言いません。

5つ 仏の道に精進し、円満な人格を作ります。いただきます。

食後合掌

今有難き食を受く、心身をいたずらに浪費することなく世の為、人の為活動せん。
ご馳走さま。

参拝の方法

  1. 山門を入る時(山門のない場合境内)手を合わせ一礼し、右足から入る。
  2. 手水鉢(水がきれいな場合には口をすすぐ)で手をきよめる。
  3. 鐘楼で鐘を撞く(お寺によっては禁止しているところもある。また、参拝後、鐘を撞かない)
  4. まず、本堂へ
    (1)線香、灯明をあげ、お賽銭を納める。写経、納め札を所定の場所におさめる。
    (2)揃って開経のことば、懺悔のことば、三帰、三竟、十善戒、発菩提心真言、三摩耶戒真言を唱える。
    (3)般若心経を唱える。
    (4)それぞれの御本尊真言を三回繰り返し唱える。
    (5)光明真言を三回繰り返し唱える。
    (6)御宝号(南無大師遍照金剛)を三回繰り返し唱える。
    (7)回向を唱える。
  5. 次に大師堂へ
    (1)線香、灯明をあげ、お賽銭を納める。写経、納め札を所定の場所におさめる。
    (2)揃って開経のことば、懺悔のことば、三帰、三竟、十善戒、発菩提心真言、三摩耶戒真言を唱える。
    (3)般若心経を唱える。
    (4)光明真言を三回繰り返し唱える。
    (5)御宝号(南無大師遍照金剛)を三回繰り返し唱える。
    (6)回向を唱える。
  6. 山門を出るとき手を合わせ一礼し、左足から出る。


礼所めぐり

四国遍路は心の旅

日本では古代から自然の中に宿る神を崇拝する風習があり、特に辺境の深山や海原、大森林などは人々の信仰の対象でした。
そうした神秘的な場所で瞑想したり、行を修めたりする修行が役行者などを中心に活発化し、いつしか一般の人にも巡礼、遍路といった形で広がっていきました。
今では「遍路といえば四国」と言われるほど、四国八十八ヶ所霊場めぐりは知られるようになりました。
緑濃い深山や怒涛の太平洋、穏やかな瀬戸内海、平野と丘のうねりなどの自然。その厳しさ、やさしさ、仏の試練、人情の温かさを、しみじみと身に感じながら歩くことができる場所。
四国遍路は、この魅力で人々を魅了し続けてきました。

弘法大師空海の足跡をたどる信仰の旅

四国巡拝は「お遍路」というスタイルをとり弘法大師が修行した跡をたどる旅です。平安前期の弘仁6年(815)に開創したといわれる四国八十八ヶ所霊場は、大師信仰が高まるにつれ巡拝者の数も増し、室町時代にはほぼ整備されました。
江戸時代になると真言宗の僧侶の手によるガイド本「四国遍路指南」や「四国遍礼霊場記」など発刊され一般化しました。
江戸時代も中期以降になると庶民の間で、一生のお参りに「四国八十八ヶ所めぐり」をと再び人気が上がり、これを感謝の意味も含めて「お陰まいり」と呼びました。
四国遍路は、伊勢参りや西国・坂東・秩父などの百観音霊場めぐりとともに庶民の一大イベントとなったのです。

八十八ヶ所由来の解説

八十八ヶ所の由来はいろいろ説がありますが、八十八の煩悩からきたともいい、男42、女33、子供13の各厄年を合わせた数、そして俗界32、色界28に、無色界28の見惑を合わせた数、そして俗界32、色界28に、無色界28の見惑を合わせた数、またわれわれの命の糧「米」の字を分解したとするもの、曼荼羅の八葉蓮台の一葉一葉に十一面の方向(十一面観音様のお顔が全方向に向いているように)があるとした説、八雲、八重、八百八町、八百万神など八は末広がりでこれ以上のない満数、無限大で宇宙を表すことからきているとする説などさまざまです。
けれどもこれらのすべてが当てはまるおもいがします。